TOHOKY UNIVERSITY

TOHOKY UNIVERSITY Intercultural Co-learning Class 国際共修クラス

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「コロナ禍での国際共修 ~『Understanding Miyagi’s Traditional Culture』と考えるオンライン授業の可能性~」

2021年度前期木曜4限
『Understanding Miyagi’s Traditional Culture (The Sendai Tanabata Festival and more)』

文責 経済学部4年 庄子美彩

インタビュイー
高度教養教育・学生支援機構
グローバルラーニングセンター 坂本友香先生(写真右)
インタビュアー・記事作成
学生サポーター 経済学部4年 庄子美彩(写真左)


東北大学では、年間約60科目の国際共修授業が開講されています。今回は、その中から『Understanding Miyagi’s Traditional Culture』というクラスを担当されている坂本友香先生にお話を伺いました。この授業では、コロナウイルスのパンデミック以前は国内学生と留学生が協働して七夕飾り制作を行い、仙台七夕まつりに参加していましたが、今年はオンラインでの授業になりました。コロナ禍により留学生が学期中の渡航可否が分からない状況のなかで、オンラインかつ英語で開講された授業での困難や発見、さらにその中での坂本先生の思いや今後の国際共修の展望についてもじっくりお聞きしました。(写真は授業での様子)

 


「Understanding Miyagi’s Traditional Culture」×「仙台市SNS」×「仙台七夕まつり」で、宮城の伝統文化を世界に発信!

 

庄子:「Understanding Miyagi’s Traditional Culture(宮城の伝統文化を理解する)」とはどのような授業ですか?授業の内容とねらいを教えてください。

 

坂本先生:この授業は、主に仙台の夏の風物詩である、仙台七夕まつりにフォーカスした授業になっています。そのため、授業では宮城の伝統文化について学生が学び、自らの言葉で伝統文化の魅力を発信できるようにすることを目標にしています。

具体的に今年行ったものとしては、大きく2点あります。1つ目は仙台七夕と仙台七夕まつりについてです。先ず、学生は仙台七夕の歴史について学びました。また、実際に仙台七夕まつりを運営されているゲストスピーカーの方々をお呼びし、仙台の七夕文化やお祭りの運営面について学び、その後学生はグループ毎にテーマを決め、七夕飾りの制作を行いました。2つ目は、仙台七夕以外の宮城県の伝統文化への理解を深めるグループワークです。ここでは、仙台市の公式SNSを運営されている企業とタイアップして授業を進めました。学生は宮城の伝統文化についてグループごとに一つ伝統文化を選んでリサーチし、その成果を仙台市のSNS投稿を通して全世界へ発信しました。

 

パンデミック前よりも少人数のグループ授業

 

庄子:今年はオンラインの授業+対面での七夕飾り制作というハイブリッドでの授業になりました。今年の留学生の割合や出身地域(文化)は、例年と比べて大きな変化はありましたか。

 

坂本先生:パンデミック前(2019年度)の受講生は、全体では約60人弱、そのうち7割から8割が留学生という構成でした。また、留学生の出身地域もヨーロッパ、北米やオセアニアといった世界中の地域から学生が集まっていました。これに対して今回(2021年度前期)の受講生は、全体では12人、そのうち4割が留学生という構成でした。主な活動がオンライン上ということもあり、受講できる人数は限られたものになりましたが、コロナ前と比較して留学生と国内学生が非常にバランスよく集まっていたと思います。一方、留学生の出身地域はフランス、中国、そしてインドネシアであり、パンデミックによって以前より限定されてしまった部分があるのではないかと感じました。

 

この授業の醍醐味は…実践に基づく深い理解!

 

庄子:授業では、外部のゲストをお招きして進めるコンテンツなど、学外にも目に向けていく部分がありましたよね。授業のデザインや進行において、意識しているポイントはありますか。

 

坂本先生:この授業は留学生の割合が非常に多く、かつ国内学生を含め受講生のほとんどが仙台七夕まつりを見たことがない学生で構成されています。そのため、仙台にいるからこそ伝わるコンテンツを提供するように意識しています。コロナ前だと、仙台七夕まつりを広めた伊達政宗について深く学ぶため、ガイドの方と青葉城址でウォーキングツアーを行ったり、七夕飾り制作の前に七夕ミュージアムへフィールドトリップに行ったりしていました。また、授業ではインターネットや書籍で調べるだけでは知り得ない部分も含めて、仙台七夕に関する伝統を深く理解をしてもらうということも意識したカリキュラムデザインを行っています。具体的には、七夕まつりの運営に携わっていらっしゃるゲストスピーカーを授業にお招きし、仙台七夕まつりへの思いや苦労、または経済効果などを実際に説明していただきました。このように、「授業に参加しているからこそ得られる知見を通し、伝統文化を理解したうえで実際にお祭りに参加してほしい」という思いを持ってコンテンツデザインを行っています。

 

コロナ禍の世界情勢に立ち向かうために、コンテンツチェンジ!

 

庄子:コロナ禍によって留学生が日本に来ることができない状況のなかで、困難を感じたのはどのようなことですか。また、それに対して例年とコンテンツを変えた点がありましたら詳しく伺いたいです。

 

坂本先生:実は今年4月に授業が開講した時点でも、新型コロナウイルス流行の収束が見えず、留学生の渡航可否や仙台七夕まつりの有無といった不確定要素が多くありました。そのなかで、本授業の魅力の一つである、「実際に体験しながら学ぶ」ということをオンラインでどのように行っていくか、何が学生にとってベストなのかを模索していくことが非常に難しい点でしたね。どうしても例年より体験の場が限られてしまうため、今回は仙台七夕まつりの参加に限らず色々な宮城の伝統文化を主体的に学んでもらうという内容に変更し、グループごとのプロジェクト活動を増やしました。これが仙台市の公式SNSとのコラボレーション活動です。海外の方の視点を入れて、宮城の伝統文化について世界に発信するという新しい学びの部分を取り入れることができましたし、学生にも例年より多くのグループワークの機会を提供できたと思います。

 

庄子:オンラインの英語で行うグループワークと聞くと、対面以上にコミュニケーションのハードルが高いような印象を受けます。実際に参加される学生の方は、英語でのコミュニケーションに慣れた学生が多かったのでしょうか?

 

坂本先生:必ずしもそうであったわけではありません。特に、この授業では英語かつオンラインでのディスカッション経験がない1年生が多く参加してくれました。英語で初対面の学生とオンラインでディスカッションをするハードルを下げるために、新たに2つのことを取り入れました。

 

庄子:具体的にはどんなことでしょうか。

 

坂本先生:1つ目は、グループワークのはじめにグループコントラクト(グループ内での決まり事)を作ってもらうことです。グループ内での役割やグループのグラウンドルールについてプロジェクト前に話し合うことで、意見を言いやすい、分からないことがあれば気兼ねなく聞くことができる土台を作るようにしました。2つ目は、国際共修サポーターに運営に携わってもらうことです。2名のサポーターに参加してもらい、オンラインでのディスカッションを円滑に行うための補助や、授業時間前後に参加学生へのアドバイジングを行ってもらいました。

 

庄子:そうですね。私がサポーターの一人を務めさせていただいて感じたのは、学生の成長の早さです。はじめはアドバイジングの時間に「積極的になれなかった」と相談しに来た学生でも、回を重ねるごとに発言や提案の回数が増えていく様子を見て嬉しくなりました

 

オンラインでも、学生同士の海を越えた密なコミュニケーションが!

 

庄子:授業をしていて嬉しいことや感動することがあればぜひ教えていただきたいです。

 

坂本先生:やはりオンライン開催にも関わらず、学生さん同士が密にコミュニケーションを取っていた様子を見られたことが嬉しかったですね。オンラインという点に関しては、国際共修サポーターに携わってもらったことも良かったと感じています。国際共修初心者で様々な不安を抱えた学生さんがいるなかで、サポーターが授業内のみならず授業外でコミュニケーションをとる機会を作ってくれたことは、先輩学生と国際共修初心者の学生の間での関係構築に繋がったと思います。オンラインでもそういった繋がりを作ることができたのは嬉しいことでした。また今回は、七夕飾り制作の段階で国外にいる留学生が参加できないという問題を解決するために、「ミニ七夕キット」を郵送しました。これによって七夕の七つ飾りの意味を理解しながら実際に作ってもらうことができたのも嬉しかったです。授業に参加した留学生が、離れていても仙台七夕まつりを身近に感じられたこと、宮城の伝統文化を母国で広められたことは非常に良かった点だと思います。

 

庄子:留学生の皆さんは、自国で家族や親戚に教えながら七夕飾りを作ったという方や、作った飾りを周りのコミュニティとシェアしてくれた方もいましたよね。

 

坂本先生:そうですね。学生自身が伝統文化を体験するだけではなく、その周りの人たちも宮城の伝統文化に触れるきっかけになったことは予想していなかった良い効果だったと感じます。

 

「できない」ではなく「何ができるのか」を考えて、アクションを起こしていこう!

 

庄子:世界的にもパンデミックの収束が見られない状況が続くなか、思うように国際交流を行うことができない学生が多くいます。国際交流に関心のある学生に期待することや、おすすめすることなどありますか?

 

坂本先生:コロナ禍が続くなか、国際交流ができない、留学ができない、といった多くの「できないこと」に私たちは目を向けがちですが、大事なのは「与えられた環境の中でいかにベストを尽くすか」だと思っています。オンライン交流やイベント参加という小さなチャレンジからで構いませんので、こういう状況のなかでも自分は何ができるのかを考え、まずはアクションを起こしていくということが非常に大事になってくると考えています。

 

学生同士の枠組みを超えた、地域と連携した新しい国際共修

 

庄子:今後の国際共修に向けて考えていることや、今後やってみたいことなどあれば、ぜひその展望を教えてください。

 

坂本先生:国際共修は、文化や言語が異なる学生同士が、意味ある交流を通じて相互理解を深めるというプロセスになっています。今後はこれに加え、学生同士の枠組みを超えた仙台はじめ宮城の地域住民の方との交流を通して他者を理解するという学びの場を提供していきたいと考えています。様々なことが不確定な状況が続いていますが、常にクリエイティブに考えて授業をデザインしていけたらと思います。

 

庄子:そういう意味では、この半年を通して学び方の新たな選択肢や可能性が広がったような印象を受けました。

 

坂本先生:そうですね。やれば何でもできるんだな!(笑)と思いました。先ほどお伝えした「アクションを起こす」というメッセージにも繋がりますが、自分も新しいことに挑戦していく必要があると感じますし、新たな形の学びの機会をこの半年で提供できたのではないかなと思います。

 

庄子:今後の国際共修授業の可能性にワクワクします。坂本先生、貴重なお話をありがとうございました!

 

参考:

東北大学公式Facebookには、『Understanding Miyagi’s Traditional Culture』の学生たちによる七夕飾りについての記事が掲載されています。(2021年8月6日掲載)こちらもぜひご覧ください!

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