なぜ必要なのか?大学生の教育・学習における国際共修の効能
文化的・言語的背景の異なる学生が共に学ぶ環境は、近年ますます強く求められるようになってきています。
なぜなのでしょうか?
一つには、グローバル化により複雑化する国際社会をよりよく生き、そして未来の社会を自分たちの手で築くことのできる人がもつべき基礎的・汎用的能力(ジェネリック・スキル)を身につける必要性がますます高まっていることが挙げられます。とりわけ、気候変動や未知のウィルスによるパンデミックなど、途方もなく大きな世界共通の課題が山積する現在、一人ひとりがこれらの能力を備えることはとても重要です。現状を冷静に見つめ、これからの持続可能な社会を築くために、文化や言語の違いを超えて同じ地球の仲間として共にアイディアを出し合い解決策を立てる。現代の社会では、そのようなマインドセットと能力を備えた若者が強く求められています。国際共修という教育手法は、様々な文化的・言語的背景をもつ学生が集い、互いの違いを尊重しながらアイディアを創出する場を仕掛ける教育環境を設計することを可能にします。
また、新型コロナウィルスの蔓延によって変化に拍車がかかる大学教育において、国際共修は新しい学びの環境を提供することで教育の質的向上にも貢献できます。2020年現在、世界のほとんどの大学では、国境をまたぐ移動の制約が続き留学が不可能となっています。このような状況でも学習者の国際的な学びへの意欲を止めないために、国際共修では多様な学生をオンラインでつなぐことで、留学で得られるような協働学習経験の機会を提供することが可能です。さらに、オンラインを活用した国際共修は単なる留学の代替という役割を超えた成果も期待できます。
従来は、留学を希望しそれが叶った学生は、留学先で国際的な協働学習体験を享受することができました。しかし、様々な条件をクリアし留学することのできる学生は、大学生全体の中でほんの一握りにすぎませんでした。一方、オンラインを活用した国際共修は大学の授業に組み込まれるため、留学をしたくても困難であった、あるいは留学を希望しないような学生に対しても、世界とつながる学習機会を提供することができます。つまり、国際共修を教育カリキュラムに組み込むことにより、大学教育全体の質的向上を期待することが可能です。
©Global Learning Center, Tohoku University