TOHOKY UNIVERSITY

TOHOKY UNIVERSITY Intercultural Co-learning Class 国際共修クラス

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学生の意見を反映させた国際共修をデザインしませんか



11月下旬から3週間にわたり開催されたJAFSA国際共修研修に、学生サポーターとして参加させていただきました。この研修では、日本の大学国際化や国際教育を推進している大学教職員の皆さんと下記のテーマについて国際共修をどのようにデザインしていけばいいのか、参加型ワークショップを取り入れながら学んできました。

今回は、学生として研修に参加した感想を共有させていただきます。

  • Group1
    『国内学生とキャンパスに来られない留学生が履修する国際共修授業』
    工学部電気情報物理工学科卒 佐々木亮太
  • Group2
    『現地留学に代わる新しい留学プログラム』
    経済学部経営学科4年 森岡駿
  • Group3
    『地域の人との連携を取り入れた体験型の国際共修プロジェクト』
    文学部英語学専修3年 湊 洵菜
  • Group4
    『協働による動画作成で学ぶ異文化理解』
    文学部現代日本学専修2年 徳田沙弥

 

1. 裏方の大切さ(徳田)

この研修を通して、授業を作るという過程の大変さを学びました。授業をデザインする側として考えることで、普段学生として授業に参加していたときには見えなかったことが見えてきました。

国際共修授業は多様なバックグラウンドを持った学生が集まる授業であり、その中でディスカッションなどの学生同士の活発な交流を通してお互いの学びを深めていきます。そのため、授業は「学生が主体」です。学生が主体といっても、うまく学生同士が意味のある交流ができるように、教員側による授業のデザインが重要であることに気づきました。
授業のデザインは、学習目標から授業内容、成績評価方法などの詳細事項まで、設定しなければなりません。また、異なる文化の学生同士がお互いの違いを受け入れながら学びを深められる授業を作る、という国際共修ならではの難しさもあります。

よく練られた授業デザインによって、学生の深い学びにつなげることができます。学生主体の国際共修ですが、教員側の準備がなければ成り立ちません。改めて、国際共修には学生だけでなく、裏方として支える教員の役割が大切であることが分かりました。

 

2. 学びを深める仕掛け(湊)

学生を主体的な学びへと駆り立てる工夫として、授業には様々な「仕掛け」が忍んでいることに気がつきました。

例えば学生の多様性が活かされる仕掛けとして考案されたのは、定期的なグループ内ピアレビューや、ワールドカフェ形式でのグループ横断型レビューでした。他にも、学修成果やプロジェクト成果の振り返りを促す仕掛けや、学生自らがその活動に携わる意義、社会的インパクトを実感させる仕掛けなどを施し、己の気づきによって学びを深められるような授業デザインの追究がなされていると感じました。

また、様々なバックグラウンドをもつ学生が集う国際共修授業では、文化的衝突から得られる学びに大きな意味があります。
学生がどんな場面でどんな差異を体験し、それをどう受け止め、行動や態度がどう変わりうるだろうかという視点をもち、あえてコンフリクトを生む仕掛けを埋め込むという方法には、思わずハッとさせられました。

学生が表面的な学びに安穏とするのではなく、時に困難に直面しつつワクワクと学びに没頭し、他者と自己の理解を通して大きく成長していけるような授業をデザインするため、様々な仕掛けが組み込まれていることを学びました。

 

3. 学生と教員の「ギャップ」(森岡)

国際共修をデザインする先生方と協同で作業できたことは非常に勉強になりました!

しかし、ディスカッションの中で先生方の意見と学生の視点に考え方の「ギャップ」があったかなと感じています。

私が参加したグループでは「現地留学に代わる新しい留学プログラム」を考えました。なかなかアイデアを生むのが難しいテーマで、チームメンバーの先生方3人は既存の留学プログラムの事例を踏まえて慎重に議論していた印象でした。
学生の自分はそのポイントにギャップを感じて、「もっと奇抜なアイデアをどんどん出しても良いのでは…?」と思う場面もありました。
実現可能性などはまずは一旦脇に置いていろんなアイデアをとにかく出しまくるのが学生の議論の特徴なのかなと思っていて、それは何か新しいものをデザインする初期段階でいちばん重要なポイントではないでしょうか。

徳田さんもグループの話し合いのなかで先生と学生のギャップを感じたようです。
授業の頻度についての話題が出たとき、「学生の負担を減らすために2週間に1回でいいのでは?」という先生側の提案に対して、学生側の徳田さんは、「他の学生とのつながりを保ちたいので、週に1回がいい」という意見を出したそうです。

授業を作る側が学生のことを考えていたとしても、必ずしも学生側がプラスに捉えるとは限らないという良い例だと思いました。
より良い国際共修を実現するためには、デザインする先生側と参加する学生側の間にある「ギャップ」をまずは理解すること、そしてそれをお互いの議論の中で埋めていくことが求められていると思います。

 

4. 体験の共有(湊)

国際共修授業のデザインにおいて、授業に関わる様々な人が体験や知見を共有することの重要性を学びました。

合理化が進む現代、議論は理論先行に傾いているとの指摘があります。
実際問題の全体像に向き合い、他者と共に十分な時間をかけてその本質に迫る「丁寧さ」は、今ほど求められる時代もないように感じます。

私のグループでは、3週間で約10回も対話の機会を設け、教員同士が各大学の実情や実例、個人の授業経験などを持ち寄る中で見えてくるものが多くありました。

実際を知るということについて言えば、授業のデザイナーは教員に限定されるべきではないのかもしれません。
学生が真に求める学びは、教員の想像するところと乖離している可能性もあります。

そこで今回、学生のリアルな視点を提供できたことは素直に意義深く感じていますし、ありがたいことに先生方からも「湊さんがいなければプロジェクト寄りの議論に終始して、国際共修の意義や学生が得る学びの掘り下げが不足していたかもしれない」とのお言葉をいただきました。

さらに、例えば地域や企業と連携した国際共修については様々なステークホルダーが想定されます。
より良い協働を生み、それぞれが得るベネフィットを最大化するためには、全関係者を巻き込んだ授業準備、まさに「協働」が必要なのかもしれません。

 

5. 学生サポーターができること

大学での学びについて教員と学生が共に考える、授業評価アンケートのようなものを超えた双方向の方法を考案したいと感じます。また、国際共修サポーターの定例会を開き、担当している授業での出来事やそこから得た学びを語り合うことができれば、それも「体験の共有」になるのではないでしょうか。(湊)

学生の意見を学生サポーターがうまくつないで、授業デザインに取り入れることができたら、学生の視点が反映された新しい国際共修になると思います。学生サポーターが学生の意見を教員に伝えて教員と学生をつなぐことで、学生、学生サポーター、教員が共に授業デザインに関わることができたら良いと思いました。(徳田)

国際共修の授業やイベントを宣伝する広告作りに学生サポーターが加わるのはどうでしょうか。例えば履修登録の期間に配られる国際共修授業の宣伝フライヤー作りに参加して、学生が興味を示しそうなところをサポーターが追究すれば、今まで国際共修に参加してこなかった学生にも関心を持ってもらえるかもしれませんね。(森岡)

授業に参加して学んだことや苦労したことなど各々の経験が、これからの国際共修授業をより良いものにしていくことにつながると感じました。授業を受けてみて感じることは学生個人個人で様々でしょう。そのときに感じたことや学んだことを忘れずに先生方と共有し、授業をデザインしていくことが大切だと思いました。(佐々木)