ルーブリックの構成と活用タイミング

ルーブリックの構成

この国際共修ルーブリックは、4つの大項目と20の小項目で構成されており、それぞれのコンピテンシー小項目は4つの発達段階に応じて設定されています。AAC&Uのルーブリックが意図的にシンプルにコンピテンシー項目を絞ったのとは対照的に、本ルーブリックでは、国際共修で伸びるコンピテンシー項目の充実を重視しました。そのため、類似している項目や一見重複しているように見える項目もあります。この意図は、使用者が、それぞれの教育目的に応じて、コンピテンシー項目を選択し、教育実践に特化したルーブリックを組み立てる柔軟性を奨励するところにあります。

異文化間能力を対象としたルーブリックは、一般的に、コンピテンシー項目が「知識」、「スキル」、「態度・姿勢」に分類されています。しかし、本ルーブリックでは、このカテゴリーにこだわることなく、大項目を「自己へ向かう力」、「対象へ向かう力」、「自他の文化へ向かう力」、「グループへ向かう力」としています。ルーブリックの開発過程で、コンピテンシー項目間のカテゴリー境界線が分かりづらいことや、ルーブリックによって、カテゴリーの解釈が異なることもあるため、能力発達の枠組みをより学習者視点で分類することにしました。これにより、個々の小項目を、一般的な異文化間能力カテゴリーに分類するのではなく、各小項目に適切なカテゴリーを紐づける構成としました。例えば、これまで「スキル」と「態度・姿勢」のどちらに入れるべきか判断できなかったコンピテンシー小項目については、両方の要素が包摂されていると捉える考え方を取り入れました。

ルーブリックの活用

この国際共修ルーブリックは、以下のような場面でその価値を発揮します。

  • 授業、プログラム、交流活動等のデザイン:それぞれの目的に応じたコンピテンシー項目を選択し、学習到達目標に取り入れることで、学習者が段階を踏んで学びを高度化させる活動や課題を設計できます。
  • 学修成果の評価:学習者がそれぞれの発達段階に合わせて学びを深め、学習到達目標をどの程度、達成できたかを測る指標として活用できます。教育実践者による評価のみならず、学習者自身による自己評価やピア評価にも用いることができます。
  • 学びの振り返り活動:ルーブリックを使った自己評価やピア評価の結果を振り返り、自身の学びや成長また課題を可視化し、それらを俯瞰するメタ認知活動を経て、レポート作成や口頭発表などの学びのアウトプットにつなげることができます。